57歳での転職挑戦、そして厳しい現実 – 私の失敗体験

転職を決意した日

定年まであと数年、このまま今の会社で終わるのだろうかと思っていた矢先、会社から「早期退職優遇制度」の案内が届きました。57歳の私にとって、これは人生の岐路となる出来事でした。退職金の上乗せに魅力を感じたことと、「まだまだ働ける」という自負から、早期退職と転職にチャレンジする決断をしました。

長年のキャリアと専門知識があれば、どこかに活躍の場はあると楽観的に考えていたのです。振り返れば、この甘い見通しが最初の失敗でした。

厳しい現実との直面

退職から転職活動が始まり、すぐに冷たい現実に直面することになりました。送った履歴書の数は50社以上。しかし、面接にたどり着いたのはわずか3社。他はすべて書類選考で不採用でした。

エージェントからは「57歳だと正直厳しい。65歳定年の会社が多いため、わずか8年で退職することになる人材には二の足を踏む企業が多い」と言われました。頭では理解していたつもりでしたが、こんなにも年齢の壁が高いとは想像していませんでした。

焦りと妥協の始まり

最初の3ヶ月は「自分のキャリアと経験に見合った仕事を」と考えていましたが、時間が経つにつれて焦りが生じてきました。退職金は残っていましたが、毎月の生活費が出ていくことを考えると、早く収入源を確保する必要がありました。

そこで条件を大幅に下げ、契約社員やパート、前職より給与が30%以上低い求人にも応募するようになりました。それでも年齢の壁は厚く、なかなか採用に至りません。

心身への影響

転職活動が長引くにつれて、精神的にも追い詰められていきました。毎朝目が覚めると「今日こそ内定の連絡があるかもしれない」と期待し、夜になると「またダメだった」と落胆する日々。妻にも弱音を吐けず、一人で抱え込む時間が増えていきました。

かつては自信に満ちていた私が、徐々に自己肯定感を失っていく過程は、想像以上に辛いものでした。「もっと若いうちに行動すべきだった」「早期退職を受けるべきではなかった」後悔が日に日に強くなりました。

現実との折り合い

転職活動を始めて10ヶ月が経ったとき、ようやく一つの内定を得ることができました。前職では管理職だった私が、小さな物流会社の現場作業員としての採用。給与は前職の40%ほどに下がりましたが、それでも収入があることに安堵しました。

しかし、入社してみると現実はさらに厳しいものでした。体力的にきつい作業、若い同僚たちとのペースの違い、そして何より経験や知識がほとんど活かせない状況に、徐々に無力感が募っていきました。

3ヶ月後、体調を崩して退職。再び無職になりました。

失敗から学んだこと

現在は、地域のシルバー人材センターに登録し、週に数日の仕事をしながら、年金受給までの時間を過ごしています。振り返ると、以下のような教訓を得ました:

  1. 50代後半での転職は想像以上に厳しい: 経験や実績よりも、「あとどれだけ働けるか」が企業の関心事になる現実
  2. 転職前の入念な市場調査が必要: 自分の年齢層の転職事例や成功率をリアルに把握すべきだった
  3. 金銭的な備えの重要性: 転職活動は想定より長期化することを前提に準備すべき
  4. プライドと現実のバランス: 長年のキャリアへの自負は大切だが、市場価値とのギャップを認識する必要がある

これから同じ挑戦をする方へ

同年代で転職を考えている方へ。私の失敗談が皆さんの参考になれば幸いです。夢と希望を持つことは大切ですが、現実を見据えた準備と計画も同様に重要です。特に50代後半からの転職は、新たなキャリアへの挑戦というより、これまでの経験をどう活かして緩やかに働き方を変えていくかという視点が必要かもしれません。

人生100年時代と言われる今、57歳はまだまだ若いはず。しかし、労働市場の現実は厳しいものです。その両方を見据えた選択ができることを願っています。

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